文法

過去時制の細かい用法まですべて解説!これを読めば過去時制はすべてわかる!

ども、ぽこラボ所長です!

今回は過去時制について。

英文法の中ではかなり地味な単元で、易しい文法書ならたった数ページしか記述がないことも多いのですが、一応基本的な内容は頭に入れておくのがおすすめです。

特に日本人にとっては過去形と完了形の違いが難しいところでもあるので、その辺も合わせて解説していきます!

この記事を読めば、過去時制については細かいところまで全て触れられるので、ぜひ参考にしてください!

目次

英語には現在時制と過去時制しかない

まずは英語の時制について。

実は英語の時制には現在時制と過去時制しかありません。

学校で習う進行形などは時制とは別の概念「相(アスペクト)」として理解する方が正確です。

細かいことは説明しませんが、たとえば「過去完了形」などは「過去(時制)」+「完了(相)」の組み合わせで出来ています。

現在時制と過去時制を比べると、現在時制の方が時間的には広い幅に適応できます。

現在時制は未来のことを表現するときにも使いますし、未来・現在・過去すべてに通ずることを表現するときにも使います。

>>現在時制の5種類の用法を全て解説!未来や過去の意味を表す用法もある!?

一方で過去時制は基本的に過去のことを表すために使う時制なので、文法書などでもさらっと書かれてあることが多いですね。

1つずつ過去時制の用法について見ていくので頭に入れていってください。

過去の状態

過去時制の用法の1つ目は「過去の状態」について。

基本的に、「現在の状態」を表すときに使う現在時制と対応しています。

状態を表現するときには状態動詞を一般的には使いますが、ここでは状態動詞を2つの項目に分けて解説します。

1つは「私的動詞」、もう1つは「関係動詞」です。

そのうち私的動詞はさらに2つに分けて見ていきます。

私的動詞:精神的活動

私的動詞のうちの1つは精神的活動を表す動詞です。

例えば、

I believed he was mistaken.
彼は間違っていると思っていた。

「believe」は「~を思う・信じる」といった精神的活動を表す動詞の1つです。

このほかにも、

think, imagine, forget, rememberなど

頭の中で起こる精神的活動を表す動詞がいくつかあります。

私的動詞:感覚を表す動詞

私的動詞の中には感覚を表す動詞もあります。

具体的には五感を使うような動詞で、

see, smell, hear, taste, feelなど

です。

これらは過去形で使うときには少し注意が必要です。

I could hear the doors slamming.
ドアがバタンバタンいっている音が聞こえていた。

という風に「could」をつければ「状態」を表現できますが、

I heard the door slam.
ドアがバタンという音が聞こえた。

という風に「could」がつかない場合は「状態」ではなく、「1回きりのイベント」を表します。

関係動詞

関係動詞は2つのものの間の様々な関係を表す動詞です。

たとえば、

She resembled Atalanta.
彼女はアタランタに似ていた。

のように過去時制で使うと、過去の状態を表現できます。

関係動詞はこのほかにも、

adjoin, border, become(第3文型), complete, comprise, contain, consist, depend, deserve, differ, entail, exceed, exclude, extend, fill, fit, have, include, need, owe, possess, preclude, prefer, require, suitなど

があります。

ちなみに状態動詞は、動詞自体に持続性の意味を持つので、一般的には進行形にしません。

>>状態動詞と動作動詞の違いは?状態動詞が例外的に進行形になるときは?

過去の動作

続いては、過去の動作についてを表す過去時制の用法です。

過去の動作を表現するときには、動作動詞を使います。

過去の動作を1つのイベントまたは、完結した事実として表現し、進行形の形にはしません。

基本的に2つに分けられて、

  • 過去の時刻や日にちを表す副詞語句を伴う場合
  • 過去の期間を表す副詞語句を伴う場合

があります。

それぞれ見ていきましょう。

過去時を表す副詞語句を伴う

過去時刻や日にちを表す副詞語句を伴う場合は例えば次の例です。

John came to see me yesterday.
ジョンはきのう私に会いに来た。

I stopped smoking last year.
私は去年禁煙した。

「yesterday」や「last year」は過去の一点をピンポイントで示す副詞語句です。

過去の期間を表す副詞語句を伴う

「過去の一定の期間行っていたこと」を表現する場合には「期間」を表す副詞語句を伴うこともあります。

I walked for three hours.
私は3時間歩いた。

He read all morning.
彼は午前中ずっと読書した。

「for three hours」と「all morning」は過去の一定の期間を指しています。

過去の習慣的動作

次は過去の反復的、習慣的動作を表す用法です。

動作動詞を使うのは「過去の動作」の例と同じなので、これらの「区別をどうやってするのか」というのも重要になってきます。

それぞれ例を見ていきましょう。

副詞語句で習慣・反復動作と判断する場合

まずは副詞語句で判断する場合です。

I got up at six in those days.
そのころは6時に起きていた。

こちらは「in those days」がなければ、「1回きり6時に起きたこと」になってしまいますが、「in those days」があることで複数回反復的に行っていたことが分かります。

「in those days」のところを以下のように変えると、その違いが分かるはずです。

I got up at six this morning.
今朝6時に起きた。

動詞で習慣・反復動作と判断する場合

He haunted bars when young.
彼は若いころはよくバーへ通った。

こちらは「haunt(~に足繫く通う)」という動詞がそもそも反復的な特徴を持つ動詞です。

なので、特に副詞語句などをつけなくても過去形にした時点で過去の習慣・反復的動作の用法になります。

主語・目的語などで習慣・反復動作と判断する場合

主語や目的語などで判断することもあります。

Scottish kings were crowned at Scone.
スコットランドの王は、代々スコーンで即位した。

こちらは「kings」が複数形になっているので、当代の王だけでなく歴代の王が代々そうしてきたことが分かる例になります。

過去形と現在完了形の違い

過去形と現在完了形(現在形+完了相)の違いは、日本人にとってはなかなか分かりにくいかなと思うので、簡単に解説しておきます。

以下の2つの例を見ていきましょう。

Mike lived in Osaka for two years.
マイクは大阪に2年住んでいた。

Mike has lived in Osaka for two years.
マイクは大阪に2年間住んでいる。

「lived」を使っている例は「今はどうか知らないけど、過去には住んでいたことがある」という「1回きりのイベント」で、「今とは切り離された過去」を表しています。

一方で「has lived」を使っている例は「今現在も含めて2年間」のことを表しています。

この例は「完了形」の中でも「継続」の用法で比較的分かりやすいですけど、「完了」や「経験」の用法でも基本的には「現在までその状態が続くことを意識しているかどうか」が重要になります。

現在完了に相当する用法

「come」や「bring」は明らかに現在まで続いている状況を指す場合でも、過去形で表現することがあります。

I came back to ask you something.
少しお尋ねしたいことがあって帰ってきました。

この場合は、話し手は発話時に聞き手と同じ場所にいることは明らかですが、話し手が現在完了ではなく過去形を選んでいます。

これは現在の結果ではなく、過去の特定の時(自分が帰ってきた時)を頭にはイメージして話しているからです。

このほか「bring」などでも

I brought the children myself.
自分で子供たちを連れてきました。

のように、子供たちがその場にいても、過去を念頭に置いて話す場合は過去形を選ぶことがあり得ます。

過去完了に相当する用法

続いては、時の副詞節の中では過去完了形を使うべきところを過去形で代用する場合があるので、そちらも説明します。

例えば、

As soon as he discovered them, he ran away.
As soon as he had discovered them, he ran away.
彼は彼らを見つけたとたん、逃げ出した。

の場合、「『見つけて、逃げた』という2つの出来事が連続して起こること」に力点をおくなら、どちらも過去形の例。

「『見つけた』という動作の『完了』」に力点をおくなら過去完了を使う例が選ばれるらしいです。

一般に主節と従属節の2つの事象が連続して起こったことを強調する場合は過去形を、その2つの事象に時間のずれを認めたい場合には過去完了形を使うようです。

詳しくはAndo 1997に書かれているので、参考にしてみてください。

細かい用法

最後は細かい例をいくつか見ていきますが、それほど受験などでは重要ではありません。

虚偽時制

The man who just left was my brother.
さっき去ったのは、私の弟だった。

こちらの例では、「The man who just left」は今でも「my brother」のはずなので、「was」が選択されるべき理由はなさそうに見えます。

話し手が「過ぎ去った」ことに力点をおいているので、ここでは「is」ではなく「was」を使っています。

実際に日本語でも、「さっき去ったのは私の弟です。」「さっき去ったのは私の弟だった。」では若干ニュアンスの違いがありますが、

微妙な違いなので、気に掛けるほどではないでしょう。

未来から見た過去

SFという特殊な状況で使われる特殊な用法もあります。

In the year A.D. 2201, the interplanetary transit vehicle Zeno VII made a routine journey to the moon with thirty people on board.
西暦2201年、惑星間輸送船ジーノ7号は、乗客30人を乗せて月への定期飛行を行った。

2201年は今から見ると未来の事ですが、「より先の未来を年頭においている場合」は過去形で表現します。

儀礼的過去

「日常的な依頼」の文脈で依頼を間接的に(=儀礼的に)するために過去時制を用いることがあります。

I wonder if you could help me.
I wondered if you could help me.
手伝っていただけるかなと思ったのですが。

「wonder」の部分を過去時制にすることによって、「別に固執していないので、お断りくださってもいっこうに構いません」という含みを持たせています。

格言的過去

格言的な文において、過去・現在・未来を通じて真理と認められる事柄を表すために過去時制が用いられることがあります。

この用法は格言的な文に限って用いられます。

また「ever」や「never」を伴うのが普通です。

Faint heart never won fair lady.
気弱な男が美女を得たためしはない。

まとめ

この記事では過去時制について詳しく解説しました!

細かい用法は覚えなくてもOKなので、その前の用法までは出来れば全て覚えて自由に使える状態にしておきたいところです。

例文もぜひ参考にしてくださいね!

それではまた、所長でした!