ども、ぽこラボ所長です!
今回は現在完了について。
時制の章で習って文法問題を解くときには問題なく解けるんだけど、自分でライティングやスピーキングのときには上手く使えないという人も多いのではないでしょうか。
特に過去形と現在完了形の書き間違いは塾で作文を添削していてもよく見かけます。
こちらの記事を読んで、現在完了形の用法をしっかり頭にいれ、過去形との違いも確認してもらえればと思います。
また、この記事では全ての用法と、完了形と一緒に使いがちな副詞語句も丁寧にピックアップしているので、そちらもぜひ覚えていってくださいね!
目次
現在完了はなぜhave(has)を使うのか?形式・歴史について
まずはなぜ現在完了形では「have/ has」を使うのか、簡単に説明しておきます。
次の2つの例文を見比べてみましょう。
(1)I have caught the fish.
私は魚を捕らえた。
(2)I have the fish caught.
私は捕らえられた魚を持っている。
(1)の文章がいわゆる現在完了の形になっているのに対して、(2)の文章は「the fish caught =捕らえられた魚」を「have = 持っている」という形になっています。
「魚を捕らえた状態で持っている」ということは「それ以前に捕らえたという行為が完了したこと」を意味するので、徐々に「have … caught」が動詞的意味を獲得していき、最終的には「have + 過去分詞」の形が「完了」を表す用法になりました。
ちなみに、(2)のような語順と意味も未だに普通に使われます。(完了の意味では使いませんが。)
I have the revolver loaded.
ピストルには弾が込めてある。
現在完了形の意味・用法「完了」「継続」「経験(存在)」
それでは、ここからは現在完了形の意味について解説していきます。
基本的には、「完了」「継続」「経験(存在)」の3つの意味が最も重要です。
その3つに合わせて2つの「拡張された完了」の意味も解説していきますが、その前に、そもそも現在完了形の基本的な意味はどういったものか理解しておくといいでしょう。
現在完了形のいずれの意味の場合でも、根底にあるのは「過去の不定時に起きたできごとが発話時とかかわりがあるという話し手の認識」です。
ある過去の時点で起きた(起こした)できごとが
- できごと自体は終わっているけど、現在もその状態が続いている
- できごとから得たものが現在にも関係ある
など、現在と何らかの形で関わりがあると「話し手が認識している」ことが重要です。
完了
最初は完了の意味。
たとえば次のように使います。
I’ve bought a new car.
新車を買った。
この意味で使われる動詞には完結的な特徴を持つものがあります。
完結的というのは、1回やったらそれ以上できないということ。
たとえば、
buy, finish, receiveなど
「1回買ったら、もう買わない」「1回終わったら何度も終われない」「1回受け取ったら、何度も受け取れない」といった性質を持つ動詞は「完結的」です。
ちなみに、現在完了形の「完了」の意味は、過去形とかなり意味的には似ています。
I have bought a new car.
I bought a new car.
この2つの例文は日本語にしたときには「新車を買った」という風になりますが、
「have bought」の方は、買った後「今も使い続けている」「今その車に乗っているところ」などを想像させます。
というのも、話者が現在まで「買った」ことと何らかの関わりを意識しているのが現在完了の意味するところだからですね。
一方で過去形の「bought」に関しては、「買ったけど今は使っていない」などのように、今現在「買った」ことと関係ない生活をしていることを想像できる文章になっています。
継続
つづいては継続の意味です。
しばらく前から、今まで続けていることを表現するときに使います。
We have lived in London since 1970.
私たちは、1970年以来、ロンドンに住んでいる。
こちらの例では「状態動詞」を使っていますが、継続の用法と状態動詞の相性はいいですね。
状態動詞でなく、上述の完結的特徴を持たない非完結的な動詞が継続の意味に使われることもあります。
I’ve taught in this school for ten years.
10年前からこの学校で教えてきた。
完結的な動詞を使う場合は、完了進行形にしないと継続の意味ではなく、この後解説する経験(存在)の意味を最初に連想させます。
また期間などの副詞語句がない文章も、次の経験(存在)の意味に取る場合があります。
経験(存在)
3つ目は「経験」の意味です。言語を研究する方の間では、今は経験というのではなく「存在」という方が主流のようです。
「~したことがある」ということを表現するときに使います。
I have read this book several times.
この本は数回読んだことがある。
この文章のように何回したのかわかるような副詞語句を伴うことがあります。
ちなみに、経験ではなく存在という言葉を使うのは、次の例のように主語が人ではなく、物になる場合があるからのようです。
This watch has been repaired several times.
この時計は数回修理されたことがある。
任意の基準時における完了
ここからは学校では習わないかもしれない意味です。
特にこの用法はあまり見かけないのでパスしても構いません。
「(いついつの時点で)~したことになる」ということを表現する時に使うのが「任意の基準時における完了」です。
If we lose this game we’ve lost the Quidditch Cup!
このゲームを落としたら、クイディッチ杯は失ったことになるんだ!
「~なとき」「~したら」という時や条件の副詞節(ただし未来の場合は後述)を伴う表現になるので、「現在」完了ですが今起こっていないこと(条件付き未来)を表現することになります。
未来の基準時における完了(未来完了形の代用)
今度は、時と条件の副詞節中(従属節中)に現在完了の形が入ってくる場合です。
こちらは未来の意味を表す「will」と相性が悪いので、未来完了形の代わりに現在完了形が使われます。
Wait till I have finished my letter.
手紙を書き終えるまで待ってください。
現在完了形と過去時制との比較
現在完了と過去時制はどちらも過去に起こった出来事について表現するときに使います。
その点では同じですが、今を意識しているかどうかが大きく異なるのがこの2つの形の違いになります。
現在完了形は「過去のできごとを発話時の視点から眺める時(発話時にも関係があると考える時)」に使われ、過去時制は「過去のできごとが発話時とは明白に切り離されているとき」に使われます。
以下の例だと、日本語にしたときには同じ訳があてられます。
Have you ever met John?
Did you ever meet John?
ジョンと会ったことがありますか?
しかし現在完了形の方は発話したタイミングまで広がる時間帯に生じたできごとを回顧している場合に選ばれて、過去形の方は特定の時刻を念頭においているときに選ばれます。
現在完了形と副詞語句との相性
現在完了形はさまざまな副詞語句とともに使われることが多いので、用法ごとに相性の良い副詞語句を紹介していきます。
完了の意味と副詞語句
最初は完了の意味と相性の良い副詞語句ですね。
これには次のようなものがあります。
just, already, yet
「just」は「ちょうど(~したところ)」、「already」は「すでに(~し終えた)」、「yet」は「まだ(~していない)」というような文脈で使います。
例文は次の通りです。
I have just heard the news.
私はちょうどその知らせを聞いたところだ。
The last train has already left.
最終列車はもう出てしまった。
Jim has not called her yet.
ジムはまだ彼女に電話していない。
継続(存在)の意味と副詞語句
続いては継続の意味とともに使われる副詞語句ですが、それは次のようなものです。
for, since, How long~?
「for」は「~日間」「~週間」「~年間」など時間の幅を具体的な数字を後に続けて使います。
“How long has she been in London?”
“For three weeks.”
「彼女はどのくらいロンドンにいますか?」「3週間です。」
一方で「since」は過去の一点を指して「~から」という意味で使います。
We have known each other since we were children.
私たちは子どものころからの知り合いです。
経験の意味と副詞語句
最後は経験の意味とともに使う副詞語句です。
once, twice, three times, before, ever, never
「once(1回)」「twice(2回)」までは、特定の語彙で回数を表現し、それ以降は「three times(3回)」のように「times」を使って表現します。
「before」は「以前」、「ever」は「これまでに」という意味。
「never」は「ever」と「not」の意味が合体したような意味だと思ってください。
Tom has visited Japan four times.
トムは4回、日本を訪れたことがある。
I have seen that man before.
私は以前、その男性に会ったことがある。
I have never been abroad.
私は1度も海外に行ったことがない。
その他、現在完了形と一緒に使える語句、使えない語句
このほかにも、現在完了とよく一緒に使うもの、一般的には一緒に使わないものをまとめておきます。
現在完了形と一緒に使う語句
lately(最近)
recently(最近)
so far(今までのところ)
up to now(今までずっと)
now(たった今)
現在完了形とは一緒に使わない語句
~ago(~前)
yesterday(昨日)
last week(先週)
last month(先月)
last year(昨年)
when I was a child(子供の時)
in 2010(2010年に)
in those days(当時)
When 疑問(いつ~?)
What time 疑問(何時に~?)
基本的には、具体的に過去のとある一点の時刻で起こったできごとを表現する副詞語句とは少し相性が悪いのは覚えておくといいでしょう。
そういった副詞語句を使うと、現在までそのできごとの影響が続いている感じがしないからと考えるといいですね。
ただし、「when」に関しては少し注意が必要です。
whenに関する注意
高校や予備校では
「完了形とwhenは一緒に使わない」
と習うことが多いのですが、全くないというわけではありません。
修辞疑問の場合と、修辞疑問文でなくても経験(存在)のときには「when」と完了形を同時に使う文章が許されます。
When has Chris ever been in New York?
クリスがいつニューヨークにいたことがありますか?
これは修辞疑問文と言われるもので意味合いとしては「Chris has never been in new York.」と同じになります。
「いついたことがありますか、いやない」という意味ですね。
漢文では反語などのように表現されるものとほとんど同じです。
When have you had occasion to do that?
そんなことをする機会がいつあったのか?
などのように修辞疑問でない読みも可能なものもあります。
「when」と過去形のセットの場合には、基本的に「経験(存在)」が前提知識としてあることが必須です。
When did you see John last?
ジョンと最後に会ったのはいつでしたか。
この場合は、「you」が「John」と会ったことは知っていて、そのうえでそれが「when」と聞いていますね。
「be + 自動詞の過去分詞」で完了形は古い
最後に補足的ですが、「be + 自動詞の過去分詞」の形についても触れておきます。
というのも昔は「be + 自動詞の過去分詞」も完了形を作っていたからです。
今でもその名残は残っていて、
Winter is gone.
冬は去った。
Everything is changed.
何もかも変わった。
などがその例です。
ただし、現在ではこの「gone」や「changed」は、過去分詞ではなく形容詞として見るのが一般的です。
「be + 自動詞の過去分詞」の形は「be + 形容詞」という一般的な形と解釈するといいでしょう。
ただし、自動詞の過去分詞が名詞を修飾する用法で使われるときは完了の意味で使われることがあるので、それは覚えておくといいかもしれません。
まとめ
今回は現在完了形について解説しました!
「完了」「継続」「経験(存在)」の基本の3つの用法に合わせて、「未来完了の代用」だったり「任意の不定時における完了」だったりの発展的な用法も解説しました。
また、セットで使われる副詞語句についても、大学入試で問われることがあるのでぜひ確認して覚えておくといいでしょう。
それではまた、所長でした!