文法

使役動詞make,have,get,letの全9用法をニュアンスの違いも含めて完全解説!

使役動詞make,have,get,let

ども、ぽこラボ所長です!

今回は使役動詞について。

文法書に載っている使役動詞は4種類。その全てを思い出せますか?

それぞれの意味の違いは説明できますか?

「使役動詞 + 目的語 + 動詞の原形」の形で「目的語に~させる」という意味になるのが超基本の形ですが、それ以外にも現在分詞や過去分詞を使った形があるのをご存じですか?

意外と細かい所までは説明できない人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は使役動詞に関して、これだけ知っておけば大丈夫と言い切れる詳細な解説をしていきます。

例文も合わせて覚えれば、使役動詞については、大学受験でも、各種資格試験でも問題ない状態を作れるので、しっかり最後までチェックしていってください!

今回の記事の内容は次の通り。

  • 使役動詞4種類とそれぞれが取る形
  • 使役動詞4種類の語法と意味を例文を交えて全て解説

目次

使役動詞とは?使役動詞が取る形(語法)は?

まずは使役動詞の基本から押さえていきましょう。

普通、使役動詞として文法書に載っているのは4つで、それが「make」「let」「have」「get」です。

また使役動詞が取る形(語法)は「SVO do」「SVO to do」「SVO done」「SVO doing」の4通りあります。

それぞれ「doは動詞の原形」「doneは動詞の過去分詞形」「doingは動詞の現在分詞形」になります。

動詞ごとに若干意味の違いがある上に、それぞれの語法でさらに意味が違ってくるので、それぞれを丁寧に覚える必要があるのが、少し面倒な所ですね。

しかも、4つの動詞のそれぞれに4つの語法があれば16種類と数が多くとも、規則的に覚えやすいのですが、全ての動詞が全ての形を取るわけではないのが、ややこしさを増しています。

使役動詞が取る形(語法)一覧

4種類の使役動詞、4つの語法をかけて16種類のうち、実際に使われる形は次の表の通り、9種類です。

まずSVO doのパターンとSVO to doのパターンに関しては、getだけが仲間はずれで、他の4つは動詞の原形と覚えておくといいでしょう。

この2つの語法のパターンは、語法によって意味が変わることはないので、安心してください。

どちらも「SがOに~させる」という使役の意味になります。

ちなみにletに関しては、このSVO doの形しか使われないので、そこも合わせて覚えておきましょう。

次に過去分詞doneを使う形は、let以外の3つの動詞

いずれも「SがOに~されるようにする」のような意味の使役の意味があります。

ただし、getとhaveについては被害の意味もあるので、この後くわしく見ていきましょう。

最後に現在分詞のdoingを使う語法が許されるのはhaveとgetの2つのみ

どちらもOがdoingし続けるような継続の意味を少し持つ形ですが、それぞれ注意が必要になるので、こちらもこの後詳しく見ていきます。

使役動詞makeの全語法と細かいニュアンス

まずはmakeから詳しく見ていきます。

上述の通り、使役動詞のmakeが取る文型としては、

「S make O do」と「S make O done」

の2種類です。

その2つの意味と、さらに使役動詞makeが受動態として使われるときの注意点を見ていきます。

S make O do(強制)

まず1番基本の形「S make O do」ですが、この形を取ったときの意味は「SはOに無理やり~させる」という「強制」の意味になります。

文法書では使役動詞として、出てこないですが、「S force O to do」や「S compel O to do」でも同じ「強制的に~させる」の意味になるので、合わせて覚えておくといいでしょう。

次の例文のように使われます。

They made me repeat the whole story.
彼らは私にその話を全部繰り返させた。

Our coach makes us train hard.
コーチは私たちに厳しい練習をさせます。

My mother made me clean my room.
母は私に部屋の掃除をさせた。

それぞれOが強制的に何かをさせられている状態を表現しています。

S make O done(慣用句)

つづいて、「S make O done」の形について。

この形は慣用句、あるいは熟語としておくのが無難です。

よく出てくるのは「make oneself understood」で形通り取ると「自分自身のことを理解してもらう」となりますが、そこから派生して「自分の意見を伝える、意志疎通する」のような意味でとるのが普通です。

例文をいくつか見て、慣れておくのが重要です。

I couldn’t make myself understood in English.
私は英語で自分の言いたいことを伝えられなかった。

Can you make yourself understood in English?
英語で自分の言いたいことを伝えられますか。

She couldn’t make herself heard above the cheers.
彼女の声は歓声にかき消されて聞こえなかった。

How can I make my voice heard in Washington, D.C.?
どうしたら私の声を米国政府に聞いてもらえるだろうか。

「Sが自分自身のことを分かってもらう」ときに使うことが多いので、助動詞canとセットで使われることも比較的多くなります。

ちなみに英作文などでも頻出です。

使役動詞makeを受動態で使うときの注意点

使役動詞のうちmakeのときだけ注意が必要なのが、makeが「be made」という受動態で使われるときです。

次の例文のように、be madeと受動態で使われるときは後ろに動詞の原形ではなく、不定詞の形が入ります。

They made me clean my room.
I was made to clean my room.
私は部屋を掃除させられた。

haveやletは普通、受動態にならないので、

使役動詞の受動態は「to do」が後ろに続く

と覚えておくといいでしょう。

※getの受動態もあまり見ないのですが、getはそもそも後ろにto doが続くのであまり意識することはありません。

使役動詞haveの全語法と細かいニュアンス

続いてはhaveについて。

使役動詞のhaveは上述の通り、次の3つの語法があります。

「S have O do」「S have O doing」「S have O done」

動詞の原形を使う最初の語法には大きな注意点はないのですが、現在分詞を使うときと、過去分詞を使うときには注意がいくつかあるので、それを覚えるつもりで読んでみてください。

S have O do(当然)

haveの使役動詞のニュアンスとして、

当然してもらえることを「~してもらうようにもっていく」

のようなイメージを持っておくといいでしょう。

上下関係や金銭やり取りの関係があるので、使役の当然性が出てくる感じです。

例文をいくつか見て、ニュアンスを確認しておきましょう。

The president had his secretary wait in the taxi.
社長は自分の秘書をタクシーの中で待たせた。

I had a cleaner clean my room.
私は掃除業者に部屋を掃除してもらった。

上下関係や金銭のやり取りをイメージできたでしょうか。

肯定文のhave O doing

have O doingは否定文のときに少し注意が必要です。

まずは簡単な肯定文から見ていきましょう。

「S have O do」と「S have O doing」の違いは「doの持続性」と、「~している状態にする」という状態の変化にあります。

例文を見て確認しましょう。

As she was worried about her son’s grades, she had him studying around the clock.
彼女は息子の成績が心配だったので、彼に昼夜ぶっ通しで勉強をさせていた。

He had us all laughing.
彼は私たちみんなを笑わせた。

Within minutes he had the whole audience laughing.
数分もたたないうちに彼は聴衆全体を笑わせていた。

最初の例文では持続性を強く感じると思います。

その次の2つはある状態への移行を感じさせるはずです。

この場合でも、「笑っている状態がしばらく続くこと」は暗に示しているのも覚えておくといいでしょう。

否定文のhave O doing(批判)

「not have O doing」の形になると、批判の意味合いが強くなります。

具体的には「won’t」「can’t」「wouldn’t」などの後につづいて「~させるわけにはいかない」という意味になります。

例えば、

I won’t have my son going out at night.
私は息子が夜外出するのを許しておくつもりはない。

I’d hardly have my daughter marrying an American, would I?
娘がアメリカ人と結婚するなんて、許すわけないだろう。

I won’t have you insulting my father.
父を侮辱したりすることなどさせません。

のように使われます。

もちろん、批判的な意味合いが強くない用法も以下のようにあります。

I couldn’t have him laughing.
私は彼を笑わせることができなかった。

S have O done(使役、被害・受動)

「have O done」と「get O done」は主語Sの意志が有るか無いかで使役の意味になるか、被害・受動になるかが決まります。

順に見ていきましょう。

使役の場合

使役の場合は、「Sが(Sの意志で)Oを~してもらう」という意味になります。

次のような使い方です。

I had my laptop repaired.
私はラップトップを直してもらった。

I must have my car repaired by Saturday.
私は土曜日までに車を修理してもらわなければならない。

She had her hair cut.
彼女は髪を切ってもらった。

I had my room cleaned.
私は部屋を掃除してもらった。

Oを誰かの手によって、「~してもらう」ときにこの使い方をします。

被害・受動の場合

次は被害・受動の場合です。

このときは「Sは(Sの意志とは無関係に)Oを~される」という意味になります。

例文で見てみましょう。

She had her bag stolen.
彼女はバッグを盗まれた。

My friend and I had our horses stolen from our barn.
友人と私は納屋から馬を盗まれた。

Sの意志とは無関係に「~される」という状況の多くは被害の状態なので、被害の意味だと覚えておいても大きく外れることはありません。

使役動詞getの全語法と細かいニュアンス

使役動詞getが取る形は上述の通り、以下の3パターンです。

「get O to do」「get O doing」「get O done」

それぞれ見ていきましょう。

S get O to do(説得)

get O to doは他の使役動詞と違って、何らかの困難や努力を伴う使役になります。

具体的には「説得などをしてなんとかOに~させる」という意味です。

例文を見てみましょう。

We’ll get our son to stop playing games on his smartphone.
私たちは息子にスマートフォンでゲームするのをやめさせるつもりです。

How can I get him to quit smoking?
どうしたら彼に喫煙をやめさせることができるだろうか。

どちらの例文の場合も、説得する困難を伴いそうな気がしますよね。

S get O doing(開始)

続いては2つ目の形「get O doing」について見ていきます。

haveとの違いは、「期待される状態の開始段階の成立」を示唆するという点です。

例文を見ると、

He got the engine running.
彼はエンジンを動かした。

He helped me get my computer going for the first time.
彼は私が初めてコンピューターを起動させるのを手伝ってくれた。

のように、「何かの状態が始まる」ことを示唆していますね。

どちらの場合も「doing」を使っているので、「持続性」も暗に読み取れるといいでしょう。

例文の場合だと、動かしたり起動させたりした後、しばらくその状態が続くイメージです。

S get O done(使役、被害・受動)

「get O done」も「have O done」とほとんど同じ意味で使います。

2つ意味があって、使役と、被害・受動ですね。

それぞれ見てみましょう。

使役の場合

主語Sの意志がある場合は「Sが(Sの意志で)Oを~してもらう」という意味になります。

例文を挙げると次のようになります。

She got her hair cut.
彼女は髪を切ってもらった。

I got my room cleaned.
私は部屋を掃除してもらった。

It is time to get the office cleaned.
事務所を掃除してもらってもよいころだ。

被害・受動の場合

主語Sの意志がないときは「Sが(Sの意志とは無関係に)Oを~される」という意味になります。

She got her bag stolen.
彼女はバッグを盗まれた。

ちなみに突然の予期せぬ出来事で被害を受けた場合や、それが身体の一部である場合は、haveよりもgetを使うことが多いので、それも知っておくといいでしょう。

I got my finger caught in the door.
私はドアに指をはさまれてしまった。

とはいえ、こちらについては絶対に覚えておくべきものでもないので、余裕があれば覚えておいてください。

have O doneとget O doneの注意点

使役や被害ではない「have O done」「get O done」もあるので、補足しておきます。

この形には「Oを自分でしてしまう」という完了の意味もあります。

I had my homework done over an hour ago.
私は1時間以上も前に宿題をやり終えた。

あまり見かけることはないので、めちゃめちゃ注意する必要はないのですが、このパターンもあるんだなと知っておくといいですね。

使役動詞letの全語法と細かいニュアンス

使役動詞のletに関しては、上述の通り

「S let O do」

のパターンしかありません。

ただし、これに近い形のletの使い方もあるので、そちらも合わせて解説していきます。

S let O do(許可)

letの場合は、「Oがしたがっていることを~させてやる」という許可の意味になります。

「SはOが~することを許す」「SはOに望み通りに~させてあげる」のような訳をあてるといいでしょう。

The police let the boy go home.
警察はその少年を帰宅させた。

My father let me go to the party.
父は私をパーティーに行かせてくれた。

「Oに~させない」は強制のmakeではなく、許可のletを用いるのが一般的で、「S not let O do」で「Oが~したがっているのに、許さない」という意味になります。

My father never lets me do a part-time job.
私の父は私がアルバイトをするのを決して許してくれない。

Her parents won’t let her go out with her boyfriend.
彼女の両親は彼女にボーイフレンドとデートをさせてくれない。

Let usとLet’sの違い

「Let us」と「Let’s」についても、比較を見ておきましょう。

※いずれの場合も文頭にletが来ることが多いので、大文字で書きました。

「Let us do」 は「我々に~させてくれ」という使役の意味になるのに対して、「Let’s do」 は「~しよう」という勧誘の意味になります。

例文を見てみましょう。

Let us know what he said.
彼が何と言ったのか我々に教えてくれ。

Let’s go to the movies tonight.
今夜映画を見に行こう。

「Let’s do」の勧誘の意味は、中学英語でもよく出てきて使い慣れているはずなので、「Let us do」の使役の方の意味がスッと出るようになっておくだけでいいでしょう。

Let me do(慣用表現)

Let us doとletの意味自体は同じですが、「Let me do」の形は頻出の表現なので、慣用表現のつもりで暗記しておくといいでしょう。

Let me doの形で「私に~させてください」「私が~しましょう」という意味を表しましょう。

例文を見てみましょう。

Let me explain.
私に説明させてください。

Let me know the truth.
私に本当のことを教えてください。

Let me help you.
手伝わせてください。

Let me remind you that we will have a quiz next week.
来週小テストがあることを忘れないように。

Let me ask you a quick question.
手短な質問を1つさせてください。

Let me begin with a few questions.
まずいくつか質問させてください。

Let me see.
少し考えさせてください。

他にもいくらでも出てきますが、文法書に載っていた物でdoのところに入る他の動詞としては次のような物があります。

tell, explain, say, add, remind, ask, know, begin, finish, see

let do O(句動詞)

最後が「let do O」という形で「let do」の所が他動詞として扱われる句動詞のような表現です。

こちらも頻出というわけではないですが、割と出てくる表現なので最後に覚えておきましょう。

以下のような表現があります。

let go「~を放す」
let drop「~を落とす」「(話題など)を打ち切る」
let fall「~を落とす」「(秘密など)を漏らす」
let fly「~を発射する」「~に怒鳴りつける」
let pass「~を見逃す」
let slip「~をうっかり口外する」「(機会など)を逃す」

文章の例としては、次のような物があります。

We must not let slip this opportunity.
我々はこの機会を逃してはいけない。

Let go the rope and I will catch you – you won’t get hurt.
綱を放しなさい。そしたら受け止めてあげる。けがはしないから。

ちなみに、この表現は文学的な雰囲気があるらしいです。。。

ちょっと純日本人の私には、感じ取れないのですが、一応例を挙げておくとこのような漢字です。

She let the opportunity to confess her love pass.
彼女は愛の告白をする機会を見逃した。(ごく普通)

She let pass the opportunity to confess her love.
彼女は愛の告白をする機会を見逃した。(なんとなくエレガント)

文学的な雰囲気を感じ取れましたでしょうか?

知識として知っておく分には損はないと思います。

まとめ

今回は使役動詞の4種類を解説しました。

使役動詞としての形は全部で9種類。

それぞれの意味や使い方も合わせて覚えておいてくださいね。

また、使役動詞以外で使われる例もいくつかピックアップして紹介したので、そちらもぜひ再度確認しておきましょう。

それではまた、所長でした!