今回は現在進行形と過去進行形について。
中学校の英文法で出てくる2つなので、基本的なことは理解できていると思いますが、細かいところまで理解できている人は実は少ないのではないかと思います。
例えば、
- 進行形が未完了の意味を持つ
- 進行形で不満の表現を作れる
- 状態動詞が進行形になる用法もある
このあたりがパッと説明できるでしょうか?
1つでも怪しいものがある方はぜひ最後まで確認してみてください!
目次
進行形とは?
今回扱うのは現在進行形と過去進行形です。
細かいことを言うと、「現在」「進行」や「過去」「進行」のようにそれぞれ2つのパートに分けることができて、「現在」と「過去」の部分は「時制」の一種、「進行」の部分は「相(英語ではアスペクトという)」の一種になります。
形としては、
現在進行形:am/ are/ is + doing
過去進行形:was/ were + doing
となり、この「doing」の部分は動詞の現在分詞です。
※現在分詞と動名詞は同じing形ですが、進行形で出てくるのは現在分詞。
どちらも「今(あるいは過去のとある時)に、~している(していた)」という意味になります。
後で細かい解説もしますが、ただの現在時制や過去時制とは違って、「動作が進んでいる感じ」を表現する用法になりますね。
進行形の用法
それでは進行形の用法を細かく分類しながら見ていきましょう!
活動の持続
まずは活動の持続から。
最も一般的な用法で、中学校で習うのは基本的にこの用法です。
She is running in the rain.
彼女は雨の中を走っている。
現在時制の基本用法は「今、ここで」起こっている動作や活動を表現する用法です。
この例文では、今その場で雨の中を走っている彼女を見ている話者の姿が想像できます。
She was playing tennis around 4 p.m.
彼女は4時ごろテニスをしていた。
過去進行形は過去のある時点や、ある期間に行われていた動作や活動を表現します。
また話者がその時その場所やその時代に居合わせたことを想像させる臨場感があります。
限られた時間の活動の持続
次は限られた時間や期間だけ、行っていた活動を表現する用法です。
I’m going to work by bus now.
いまはバスで会社へ通勤している。
言い方や文脈によって意味が変わってきますが、「今ちょうど通勤している所」という意味に取るときは、上述した「活動の持続を表す用法」になるのに対して、
車や自転車が壊れたから「今はたまたまバスで通勤している」という状況を表現する意味にもとることができます。
過去進行形でも同様の用法があります。
I was going to work by bus in those days.
当時は、バスで会社へ行っていた。
当時、車が壊れていたのかもしれませんし、持っていなかったのかもしれませんが、ある期間限定でその動作をしていたことを表現しています。
絶え間ない継続(誇張表現・不満表現)
次は絶え間ない継続を表す用法です。
He’s always asking silly questions.
彼はいつもくだらない質問ばかりしている。
実際に「always=いつも(一時も欠かさず)」くだらない質問ばかりしている人はいないので、誇張表現になります。
「always」の他にも
continually, constantly, perpetually, for everなど
の類義語の副詞語句が使われることの多い表現です。
文法書には「非難」や「不満」の意味を持つ場合が多いという風に書かれていることがあり、上の例ではその意味を含んでいますね。
ただし、そういった表現ばかりでなく「言い方によっては賞賛にも不満にも取れるもの」もありますし、「ほとんど賞賛の意味で使われる例」もあります。
He is always giving people lifts.
彼はいつも人を車に乗せてばかりいる。
A child is always learning.
子供はいつも学んでいる。
同時性
進行形は「継続」の意味を持つので、2つ以上の事柄が同時に進行していることを表すときに使います。
When children are doing nothing, they are doing mischief.
子供が何もしていないときは、いたずらをしているのだ。
この用法は過去進行形の方がむしろよく見られます。
While I was sowing the seeds, Harry was digging up potatoes and George was picking plums.
私が種をまいている間、ハリーはじゃがいもを掘り起こしており、ジョージはスモモをもいでいた。
同一性
同時性から派生して、「Aが行われるときにBも行われる」から「A即B」「A=B」のような意味にも使われています。
A rich man, who spends money thoughtfully, is serving his country as nobly as anybody.
お金を慎重に扱う人は、誰にも劣らずりっぱに祖国に尽くしていることになる。
過去進行形でもこの用法はあります。
If I said that, I shouldn’t be telling the truth.
そんなことを言ったら、うそを言うことになる。
※仮定法の用法になっています。
近接未来
既に取り決めている未来のできごとを表すときにも進行形は用いられます。
Yes, I’m going to Paris tomorrow.
ええ、ぼくはあすパリへ行きます。
もろもろの準備が整って、出発の準備が始まっているものとして表現されます。
もともとは往来の動詞「go」「come」などに多く見られた用法ですが、今では前もって計画できるような行為を表す動詞すべてに波及しつつあるようです。
The Browns are dining with us this evening.
ブラウン夫妻は、今晩私たちと夕食を共にします。
現在時制・過去時制(単純時制)との比較
現在進行形と過去進行形の一般的な用法はここまでで全て解説したので、ここで改めて進行形と進行形でない単純時制の比較をしていきます。
主に2つの違いがありますので、そちらを覚えておくといいでしょう。
事実と活動
まずは次の2つの例文を比較してみます。
Sam drives a truck for the ABC Company.
サムはABC社のトラック運転手だ。
Sam is driving a truck for the ABC Company.
サムは(目下)ABC社のトラックを運転している。
最初の例文では、現在時制が使われていて、この場合は主語についての恒常的な事実(トラック運転手が定職)を述べています。
一方で後の例文では、一時的な活動(トラック運転手では定職ではない)を述べています。
完結と未完結
過去形になると、事実と活動の違いがまた別の意味を持ってきます。
I wrote a letter this morning.
けさ手紙を書いた。
I was writing a letter this morning.
けさ手紙を書いていた。
前者においては書き終わった事実、つまり完結したことを表現しています。
一方で後者は過去のある時点(this morning)での活動を表現していて、何らかの事情で中断されたことを含む意味になります。
進行形と相性の悪いもの
進行形とは相性が悪く、一般的には進行形の用法と一緒に出てくることのない語句がいくつかあります。
それらをここで見ていきます。
特にライティングやスピーキングの時に気を付けられるといいですね。
状態動詞が述語動詞になるとき
まず最初は状態動詞からです。
進行形と状態動詞は基本的には相性が悪いです。
状態動詞は進行形にしなくともある状態が持続していることを表現しますし、また進行形は動作が継続していることを表現するからです。
よって次のような英語は不自然です。
×John is knowing the answer.
正しくは次のようになります。
John knows the answer.
ジョンは答えを知っている。
一般的な名詞が主語や目的語に入るとき
進行形は一般的な名詞が主語や目的語に入るときにも、不自然になります。
×I’m enjoying music.
このような英語は使いません。
音楽一般を(おしなべて)とある瞬間に楽しむことは基本的にできないからですね。
以下のどちらかであれば、自然な英語になります。
I enjoy music.
私は音楽を楽しんで聴く。
I’m enjoying the music.
その音楽を楽しんで聴いている所だ。
一般的な「music」を使うのであれば、単純時制の現在形「enjoy」を使い、進行形を使う場合にはそれに応じて目的語も「the music」という風に限定されているのが普通です。
瞬時的動詞が文脈的に反復できないとき
瞬時的動詞と言われる一部の動詞は進行形にすることで反復動作を表します。
John was tapping the window.
ジョンは窓をこつこつたたいていた。
瞬時的動詞は一瞬で動作が完結する動詞ですね。
sneeze, cough, blink, explode, hit, jump, nod, noticeなど
があります。
瞬時的動詞を進行形にすると反復を表す一方で適切な語句を使わないと反復できない状況を指し示すことになってしまいます。
×A bomb is exploding.
爆弾は1つだけでは爆発を反復できないので、この英文は不自然ですね。
Bombs are exploding.
爆弾があちこちで爆発している。
こちらだと自然になります。
連続的ではない頻度の副詞がくるとき
進行形と頻度の副詞語句が同時に使われることはありますが、一方で一緒に使えない頻度の副詞語句もあります。
たとえば、
sometimes, occasionally, at times, now and then, rarely, seldom, hardly, never, ever
などです。
×Mary is sometimes watching TV.
というのはやはり不自然です。
「simetimes=ときどき」というような連続的ではない頻度の副詞だと、「is watching」という連続的な活動と相性が良くないからですね。
be+ingが進行形にならない紛らわしいもの
「be+ing」の形がいつでも進行形になるわけではありません。
文章中に出てきたときにパッと判断できるだけの語彙力も必要になります。
たとえば、
This book is interesting to me.
この本は私にはおもしろい。
「interesting」の場合には、皆さんご存じの語彙なので、この「ing」を現在分詞と見る人はいないと思いますが、知らない単語の中にingが入っている場合でも場合によっては判断することができます。
以下のような特徴を持つing形は現在分詞ではなく、形容詞です。
- 程度の副詞に修飾される→「very interesting」
- 前置詞句を伴う→「interesting to me」
- 比較変化する→「more interesting」
- 他の形容詞と等位接続する→「interesting and instructive」
状態動詞の進行形
最後に状態動詞が進行形で使われる特殊な状況について解説して終わりにします。
状態動詞は進行形と相性が悪いという風に上述したばかりですが、絶対に同時に使えないというわけではないので、同時に出てくる状況も把握しておくといいでしょう。
状態動詞が状態動詞以外の意味で使われる
最初は状態動詞が、状態動詞以外の意味で使われる場合です。
例えば、「see」を「~が見える」という意味でとると進行形には使えませんが、「~と会う」という意味でとると状態動詞として使えます。
John is seeing a lot of Mary these days.
ジョンは近ごろメアリーとたびたび会っている。
「be」についても「be being + 形容詞」「be being + 名詞」の形で見ることがありますが、この「being」は「behave」などの意味として使われています。
She is being kind.
彼女は親切にふるまっている。
Darling – you’re being an angel.
あなたー親切なことおっしゃるのね。
推移的表現
次に、ものごとが推移している状況を表すために状態動詞の進行形を使う場合です。
I’m already forgetting my French.
もうフランス語は忘れかけている。
I’ve settled in now and am liking it very much.
私は引っ越して落ち着きました。そして、こことても好きになっています。
この「be forgetting」や「be liking」は「忘れている途中」「好きになっている途中」を表現するために使われています。
まとめ
今回は現在進行形と過去進行形についてまとめました。
基本的なことは分かっていても、細かいところで忘れている部分もあったのではないでしょうか?
ぜひ覚えていなかった部分はこの機会に覚えてくださいね!
それではまた、所長でした!